az氏百科事典

「コンピュータ周り」から「今日の駄文」までを手狭くカバーする極小ブログ群

削られたのは、精神と聴力と

 極限生活を乗り越えながら、入学から早1か月が経とうとしている。
 4月では頑張らねばという意識を持ち続けていたため無様な姿をさらしてしまったが、今では環境になじめたような、そうでないような生活を送っている。変わったことといえば、話せるひとが増えたので、寂しさのようなものは紛れたことだろうか。

 部活は結局未だに入れていないが、学生プロジェクトのようなものに幾らか参加させていただいており、それなりに充実した生活を送っている。
 家事もだんだんと手を抜き、真面目に作っていた弁当もほとんど作らなくなって久しい。そのぶん朝はゆっくり起きて夜もゆっくり眠るという、4月に比べればハートフル幼稚園児レベルに、のびのびとすこやかげんきになっていった。

 

 が、なぜか唐突に難聴になった

 今回は突発性難聴のお話。

 


・それまではいつも通りだった

 さて、ある日のことだ。

 なんでもない朝。いつも通り日の出ほどに目を覚まし、枕元のスマホのアラームを止め、大きく伸びをしてからゆっくりと体を起こす。それから寒さに身をよじらせながらドアを開け、階段を降り、脱衣所で服を脱いでシャワーを浴び、あらかじめ沸かしておいた湯船に身を沈める。

 入浴を始めてから10分くらい経ってからのことだろうか。
 唐突に右耳の中に水の入るような感覚がした。
 そう、あの特有の詰まったような気持ち悪さ。必死に抜こうとしたがなかなか抜けない。なのであきらめて身支度を済ませて登校することにした。どうせいくらか経てば水くらい抜けるだろうと思っていたのだ。

 しかしその不快感は幾日経てど拭えなかった。

 ずっと右耳に閉塞感が寄り添う。もっと言えば、耳鳴りも伴っている。
 同科の人に相談したら「それは中耳炎やろう、医者にかかればすぐ治るよ」と言ってもらえたので、ひとまずはほっとしていた。…中耳炎ならば痛みがある筈だというのに。
 しかし聞こえづらいだけとはいえ、流石に不安で不快なので病院に行くことを決める。とはいえ長く休日は予定が入っていたので、結局医者にかかったのは2~3週間経ってからだった。

 だが、耳鼻科でカメラを通して見た耳の中は、とてもきれいな姿をしていた。
 炎症も、入ったはずの水も、何もない
 にも関わらず、聴力検査では右耳のほうが著しくスコアが低かった
 医師は結果を見て、私にこう言った。

 「突発性難聴ですね。…症状が出てから2週間以上経っているため治療は難しいです。最悪他の病院を紹介させていただくかもしれません、開業医でやれることは限られているので」

 

 笑顔で「なるほど、わかりました」と答えておいた。


突発性難聴について

 治療法は未だ確立しておらず、原因も考えられてはいるがまだはっきりとは言えない難聴だという。医師は筆者の難聴の原因をストレスによるものだとした。他にもウイルスが原因だとか、内耳の血液循環が悪化したものだとか、そんな原因が考えられるらしい。

 発症時期においては40~60歳代に多くみられるが、10歳にも満たない子どもが発症するケースもあり、幅広い年齢からリスクはあるとされる。男女差はほぼない。~19歳までの割合はとても低く、20歳から途端に割合が増えるため、現在大学生ウェイしている方も知っていて損はないだろう。…筆者、まだ18なんだけど。

 発症については本当に唐突で、突然で、いきなりのものだ。他の患者のブログなどを読んでいると、みな異口同音にそう言う。
 なんの前触れもなく耳が詰まる感覚がするのだ。そして患者の多くが耳鳴りを訴える…筆者の場合は「サー」という音が流れ続けている。うるさいほどではなく、鳴ってるな、程度の。
 また人によってはめまいも起こるという。発症と同時に起こるものはぐるぐると回るようなもので、吐き気を催すこともあるとか。発症後に起こるものは、ふらふらとしためまいとなり、どちらも一過性で繰り返さないらしい。
 またなべての音が聞こえづらいわけではなく、低音域はふつうに聞こえる。高音域が怪しく、筆者の場合だと4000Hz前後(会話音域よりやや高い音域)において、左右で聞き取れる音量に最大20dbの差がある。軽度難聴にギリギリかするレベルだ。

 突発性難聴は若いほど治りやすく、早期治療すれば聴力回復が明るいという。治したいなら最低でも2日以内に医者に診てもらわないと厳しい、筆者のように2週間、3週間放置したら回復率は殆どない、と言われた。放置すると後遺症として難聴が残り続けてしまうため、明確におかしいと思ったら早く病院に行くべきだと思う。マジで。
 突発性なら本当に、いつおかしくなったかがはっきり自覚できるくらい唐突なので。


・今回の治療について

 服薬でしばらく様子をみる。ややきつめの薬を使うので、4日間服薬したらまた通院せねばならない。
 どのような効果の薬を服用するかについては、おおまかに血流の改善や炎症抑制の効果をもつものが処方された。加えて薬が胃を荒らすので胃薬とビタミン剤が出ている。計5種だ。

 折角なので可愛いピルケースを買った。


突発性難聴に対しての感情

 正直、そんなに驚かなかった。むしろ、他の持病があるせいで「ああ、またか」「通院費がかさむなあ」などという感想しか抱けない。
 しかし高音域が聴き取りづらいとなると、音楽がうまく楽しめない。また、横断歩道のカッコーの音声も、妙に響いては脳を揺らして気持ち悪い。そして人の言葉が微妙に聞き取りづらい。雑談なら聞き返せばいいが、講義ならそうもいかず。健常な左耳でどうにか聴き取ろうとしても、やはりいままでの感覚と違うため、違う世界に立った気分だ。
 ただ一つ気がかりなことがあるなら…原因として「ストレス」が挙げられたことだろうか。生活が楽しく満ち溢れていたとしても、見えないところで摩耗と疲弊を繰り返しては息を切らしていたらしい。感覚がマヒしていたのか、なにも気づけなかったが。
 ともあれ、これで既往症が増えてしまったのは情けない。

 まあ、できないことを数えるより、できることをやろう。
 まだ手は動くしね。


 皆さんも唐突な耳詰まりにはお気をつけて。早めの通院を。


 また来世。